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2008-09-13

永世竜王を賭けた対決に

- 対局者:木村八段●vs○羽生四冠
- 棋戦名:第21期竜王戦決勝トーナメント挑戦者決定戦第3局(Web中継)
- 対局日:2008/09/12

王位戦も踏ん張った羽生四冠だが、負けられない戦いの道はまだ半ばだ。
注目の竜王戦挑決戦第3局は、後手羽生が自ら角交換して向飛車に。しかし9手目▲7七角に△3三角と合わせて、さらに△4四歩としたことで、旧型の向い飛車になった。
そして長い序盤戦が始まった。

先手木村八段は銀冠から居飛穴に、後手も美濃から銀冠そして今△9二香としたところ。

後手:羽生善治四冠
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・v飛v香|一
|v香v玉v金 ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v銀v歩v歩 ・v銀v桂v歩v歩|三
|v歩v歩 ・v角v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六
| ・ 銀 角 歩 歩 銀 ・ ・ 歩|七
| 香 金 ・ 金 ・ ・ ・ 飛 香|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:木村一基八段
先手の持駒:なし
【手数=44 △9二香 まで】

ここから▲7八金右△9一玉▲5六歩△6二金左▲5八飛△5一飛▲3八飛△8二金▲3五歩と進んだ。
相穴熊。お互い駒組でポイントを稼いで、彼我の布陣の優劣から仕掛けのタイミングをはかる将棋となった。
こうなるとどうしても居飛車の方が飛車先が伸びているだけ得、と言うのが定説で、後手は先手に仕掛けさせないことを優先せざるを得ない。
しかし遂に先手が3筋の歩交換に成功したのが▲3五歩だ。
すなわち先手がポイントを稼いだことになる。後手は良くて千日手、という感じだ。

図は85手目の局面。今だ駒組み進行中。
先手は4七の銀を6七に移動することに成功しており、これもポイントアップだ。ただし、仕掛けのタイミングは依然難しい。
後手は玉頭を盛り上がって局面の均衡を保とうとするが穴熊相手に効果は薄い。

後手:羽生善治四冠
後手の持駒:歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉v桂 ・ ・ ・ ・ ・v飛v香|一
|v香v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・v金 ・ ・v角v銀v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v銀 ・v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 銀 ・ 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|七
| 香 金 金 角 ・ ・ ・ ・ 香|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:木村一基八段
先手の持駒:歩二 
【手数=85 ▲6八角 まで】

後手の指し手は△7三桂!
俗にパンツを脱ぐと比喩されている桂跳ねだ。勝負手か。

109手目、長い序盤戦が終わろうとしている。
仕掛けの間合いをはかっていた先手だが、遂に仕掛けたのが下図。△4六角は▲3一歩成で攻めが続くということか。


後手:羽生善治四冠
後手の持駒:歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v香|一
|v香v金 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|二
| ・v金v桂 ・ ・v銀v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v銀v角v歩v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・v歩 歩 ・ ・v歩 歩 ・|五
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 銀 角 銀 ・ ・ ・ 飛 香|七
| 香 金 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:木村一基八段
先手の持駒:歩 
【手数=109 ▲6五歩 まで】

ここから△4六角▲3一歩成△同飛▲2四歩△6五桂▲6六角△4五桂▲4七歩△6四角▲2三歩成△5七桂左成と進んだ。

先手が果敢に仕掛けてはみたが、ものの数手で後手優勢になってしまった。パンツの桂が6五に跳ね3三の桂も跳躍。後手は先手の仕掛けに素直に応じただけだ。
▲4七歩に4六の角を成らずに△6四角としたのは3一の飛車に紐を付けた手で、後ほどその意味が分かる。

図は▲2二飛成としたところ。飛車取りだが6四角の紐付きだ。

後手:羽生善治四冠
後手の持駒:歩四 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉 ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v香|一
|v香v金 ・ ・ ・ ・ ・ 龍 ・|二
| ・v金 ・ ・ ・v銀 と ・ ・|三
|v歩v歩v銀v角v歩v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・v桂 ・ ・v歩 ・ ・|五
| 歩 歩v歩 角 歩 ・ ・ ・ 歩|六
| ・ 銀v銀 歩 ・ 歩 ・ ・ 香|七
| 香 金 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:木村一基八段
先手の持駒:桂 
【手数=127 ▲2二飛成 まで】

ここから△8八銀不成▲同金△7七金▲9七銀△8七金▲同金△7七歩成と進んだ。
あれほど堅かった先手穴熊があっという間に崩壊だ。
食いついてしまえば大駒はいらない。▲3一龍△同角▲5一飛なら△8一飛で角を取らせても良いというのが穴熊の指し方だ。

図は▲3一龍と王手で飛車を取ったところ。今は6四に角がないのでただでしかも王手の先手だ。
しかしここでは後手勝勢。8一に埋めるのは角か金か。

後手:羽生善治四冠
後手の持駒:角 金 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉 ・ ・ ・ ・ ・ 龍 ・v香|一
|v香v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・v金 ・ ・ ・v銀 と ・ ・|三
|v歩v歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・v銀 ・ ・ ・v歩 ・ ・|五
| 歩 歩 金 歩 歩v角 ・ ・ 歩|六
| 銀 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 香|七
| 香 玉 ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:木村一基八段
先手の持駒:飛 桂二 歩五 
【手数=167 ▲3一龍 まで】

ここから△8一角▲7五金△7七金▲9九玉△7九銀成▲8七銀△6四角と進んだ。
ここでは合駒は角が正解。△7九銀成は△8七桂の詰めろなので、▲8七銀は涙の出る手だが、△6四角があまりかっこいい決め手となった。取れば△7五桂がある。

木村にしれみれば、優勢に進めていた将棋を仕掛けのミスで不利となり、△6四角のような華麗ではあるが難くはない手で仕上げられた本局の心理的ダメージは大きそうだ。
羽生は裏街道もなんのその、ものの見事に挑戦権を獲得、永世竜王対決実現の運びとなった。

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