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2009-06-13

第80期棋聖戦第1局

木村八段が、3度目のタイトル戦登場。過去のタイトル戦は、第18期竜王戦(対渡辺竜王)と第56期王座戦(対羽生王座)だが、意外なことに未だ白星がない。ここらあたりでタイトル戦初勝利といきたいところだろう。
対する羽生棋聖は名人戦が同時進行中だ。名人戦をみるかぎり調子は良くないと感じる。

戦型は後手羽生が5筋から動く急戦調の矢倉に。角を右辺に転回するこの形は苦杯をなめた第21期竜王戦で渡辺竜王が採用して話題になったものだ。従来は急戦調だから先手に飛車先の歩を切られるのはやむを得ないと考えられていたが、△3三銀と2筋を守る感覚が新しい。
図は△4二金右としたところ。先手銀は二枚の銀を中央に繰り出し古来の感覚では美しいとされている形だ。堂々とした自然な陣形ではあるが現代の目で見れば古風と言えるかも知れない。
対して後手陣は低くて現代的な構え。色々な意味で対称的な陣形となった。

後手:羽生善治棋聖
後手の持駒:歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v金v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・v歩v銀v歩v銀v歩v歩|三
| ・v角v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 銀 銀 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:木村一基八段
先手の持駒:歩 
【手数=36 △4二金右 まで】

ここから▲7九角△2二玉▲4六角△7三角▲5五歩△8六歩▲同歩△同飛▲7九玉△4四銀右▲3六歩△1二香と進んだ。
先手は慌てず自然な手で駒組勝ちを目指す。▲5五歩と角交換を拒否したのは方針に従ったものだが、歩切れとなった。後手は飛車筋の歩交換も果たし二枚の歩をもった。
そして、△1二香。まるで渡辺竜王が羽生に乗り移ったかのようだ。

少し進んで下図。後手陣は穴熊完全体である。反面攻め味は乏しく、一旦切った8筋の歩を合わせて手待ちをしている。

後手:羽生善治棋聖
後手の持駒:歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v金v桂v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v銀v香|二
| ・ ・v角v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三
|v歩v飛v歩 ・ ・v銀v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ 歩 歩 桂 ・ ・ 歩|五
| 歩 ・ 歩 銀 銀 角 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手:木村一基八段
先手の持駒:歩 
【手数=70 △8四飛 まで】

ここから▲3五歩△同銀▲3三歩△同桂▲同桂成△同銀▲6八角△2二金上▲4五銀△9五歩と進んだ。
▲3五歩から動くのが機敏で、先手が戦機をつかんだ。しかし、▲6八角では過激に▲3五角と切って攻め続けるのが正解だったようだ。
先手が一呼吸ついたおかげて△9五歩と後手に攻める順が回ってきた。穴熊は桂がなくなってしまったが依然遠いという特徴は残っている。

以降は木村らしく受けに回る展開となったが、後手の攻めが繋がってしまった形になった。
将棋は後手が勝ったものの、駒組の段階では両者共先手持ちということで見解が一致していた。これが渡辺世代だとまた違った見解が得られるのかも知れない。

さて、本局は前期棋聖戦第1局第21期竜王戦第1局に続いて梅田望夫氏によるWeb観戦記が楽しめる。
過去2回のWeb観戦記は今春上梓された「シリコンバレーから将棋を観る -羽生善治と現代」にまとまった形になっている。

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