第80期棋聖戦第4局
第4局は一手損角換りに。最近タイトル戦で目にする木村八段の一手損角換りは柔らかい受けが印象的で、本局もそのような展開に持ち込みたいところだろう。
羽生棋聖は棒銀の早い動きで対抗した。2六の銀を立て直すのが通例だが、3七銀と指さなかったのが本局の趣向。2六銀のまま▲6八金右としたのが下図。
後手:木村一基八段
後手の持駒:角 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金v玉v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・|三
| ・v歩v歩 ・v銀v歩v銀 ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 銀 ・|六
| 歩 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治棋聖
先手の持駒:角 歩
【手数=35 ▲6八金右 まで】
ここから△7三角▲3七角△6三金▲3八飛△3三歩▲1六歩△9四歩▲3五銀と進んだ。
お互いに角を打ち合う展開になったが、こうなると2六の銀が違和感がある。▲3八飛の銀取りに△3三歩と受けたのにも違和感。このような常識的な大局観に照らし合わせると、その範疇から外れるような手が最近のプロ将棋には多くなった。
▲3五銀は派手な手だが、3七の角がいなくなると3八の飛車が素通しとなるのでタダという訳ではない。先手は凝り形の角銀を捌く狙いだ。
図は▲3七角と打ったところ。後手の反撃を緩和している。
後手:木村一基八段
後手の持駒:角 銀 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v金v歩 ・v歩 ・ ・|三
|v歩v歩 ・ ・v銀v歩 ・v歩 歩|四
| ・ ・v歩v歩 ・ ・ 飛 ・v歩|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 歩 ・ 歩 角 ・ ・|七
| ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治棋聖
先手の持駒:銀
【手数=55 ▲3七角 まで】
ここから△7二飛▲7五歩△8五桂▲1五飛△7七桂成▲同金直△7六歩▲同金△1八歩▲同飛△3六角▲2八飛△2七銀と進んだ。
△7二飛は指されて見れば当然だが、先手が軽視していた手かも知れない。先手は後手が右桂を捌いている間に▲1五飛と端を狙うが△1八歩と最後の歩と叩いたのが好判断。先手の飛車をいじめる展開になった。
この後飛角交換となって後手優勢になった。やはりこのような将棋では飛車に威力は絶大だ。
羽生もしぶとい受けで対抗して下図。8一の飛車を6一に成りかえっての金取りに△6三銀と5四の銀を引いて受けたところ。先手陣の銀銀桂はいずれも受けた手で△6一飛成は待望の手だ。
△6三銀はいかにも木村らしい手で、これで受けきりと見ている。すわ木村棋聖誕生か。
後手:木村一基八段
後手の持駒:金
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| 馬 ・ ・ 龍 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v香v金 ・ ・v玉v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・v銀v歩 ・v歩 歩 ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 歩|四
| ・ ・ 歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 金 ・ 歩v角 ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・v銀 ・|七
| ・ 玉 桂 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀v龍 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治棋聖
先手の持駒:歩五
【手数=100 △6三銀 まで】
ここから▲8二馬△同金▲6三龍△3五角打▲5七香△2九龍▲5二銀△3四歩▲1三歩成△同桂▲3三歩△同玉▲5三龍△4三金打と進んだ。
▲8二馬に△同金は本譜のように▲6三龍と銀をぼろっと取られるが、△3五角打が厳しい。ただこの展開は後手が明白に優勢という印象ではない。
この後互いに疑問手が出たようだが、疑問手は最後に指した方が罪が大きい。△4三金打は敗着。受けになっていなかった。ここは桂合すればまだ先の分からない将棋だったという。



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