第34期棋王戦第5局
佐藤棋王の将棋は序盤から創意工夫があり、何が飛び出すか分からない面白さがある。そこが魅力的なのだが、そこは諸刃の剣。時にはうまく行かない時もある。
第5局はそんな佐藤将棋が裏目に出てしまった一局かも知れない。
後手久保八段のゴキゲン中飛車に対して先手佐藤があまり見かけない駒組をしたのが下図。8八の銀を▲7七銀と上がったところ。先手の主張は6筋の位で、ここを奪還されてしまっては即作戦負けに繋がりそうだ。
当然後手も6五の地点に対して動いた。
後手:久保利明八段
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
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|v香v桂 ・ ・v飛 ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v金 ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・v銀 ・v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三
|v歩v歩v歩 ・v歩v銀v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 銀 歩 ・ 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 金 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
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先手:佐藤康光棋王
先手の持駒:角
【手数=35 ▲7七銀 まで】
ここから△7三桂▲6六銀左△5五銀▲同銀△同歩▲7七桂△3三角▲3六歩△9二香▲3七桂△4二角!▲6六銀△9五歩と進んだ。
△7三桂は当然の揺さぶり。5五の地点で銀交換になった。互いに角銀を持ち合うことになったが、後手は△3三角と角を手放した。この角が一見ぼやっとしているが、△9二香〜△4二角として狙いが見えてきた。
気がついてみると、先手陣は左桂を跳ねており9筋が薄く、本譜の端攻めを受ける手だてがない。△4二角の瞬間に▲5二銀という手があるが、△5二同飛▲4一角△6二飛▲3二角成に△1五角があって決め手にはならない。
久保は5度目のタイトル挑戦で念願の初タイトルを手にした。振り飛車党のタイトルホルダーは藤井竜王以来である。振り飛車党にとって数少ない希望の光だ。
久保は順位戦の昇級こそ逃したものの、最多対局(73局)最多勝利(49勝)。棋王戦を有終の美で飾って最高の年になった。
反対に佐藤は7年ぶりの無冠となった。
これで7大タイトルの内、羽生四冠(名人王座棋聖王将)以外は全てB1級の棋士(渡辺竜王、深浦王位、久保棋聖)が保持するという事態になった。上位クラスの層が厚くなったということか。


