第50期王位戦第7局
8五飛戦法復活の兆しがある。
横歩取り8五飛にも多様なバリエーションがあるが、木村は少し古めの指し方を、最終局に投入した。第51期王座戦(羽生王座vs渡辺五段)は8五飛シリーズとして有名だが、第2局と第3局と同様の進行となった。
図は△7四歩としたところ。王座戦第3局では△5二玉▲7五歩△7二金▲6八銀△8二銀▲7六飛△8三銀▲4八銀△7四歩と進んでいる。△7四歩は▲7五歩と先に突かれるのを嫌ったか。
後手:木村一基八段
後手の持駒:角 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀 ・ ・v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v金 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・ ・v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三
| ・ ・v歩 ・v飛 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 飛 ・ ・ ・ 歩 ・|六
| 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 玉 ・ 金 ・ ・|八
| 香 ・ 銀 ・ ・ ・ 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:角 歩
【手数=34 △7四歩 まで】
ここから▲6八銀△5二玉▲2八銀△7三桂▲3六歩△5五角▲5六飛△2八角成▲同金△5五銀と進んだ。
先手は▲2八銀〜▲3六歩と銀の活用を目指すが、△5五角の返し技があった。素朴だが有力のようだ。本譜で先手の飛車が詰んだ。
飛車を手持ちにした後手乗りの声が大きくなってきた。
図は▲2四桂としたところ。これで後手の飛車も詰んだ。一手指す方が優勢に見える熱戦だ。
後手:木村一基八段
後手の持駒:金 歩四
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v金 ・ ・v玉v金v銀 ・|二
|v歩 ・ ・ ・v歩v歩v桂 ・v歩|三
| ・ 銀 ・v歩 ・ ・ ・ 桂v飛|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 歩 ・ 角 歩 歩 歩|六
| 歩 歩 桂 玉 歩 歩 ・ ・ ・|七
| ・ ・ 金 銀 ・ ・ ・vと ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・v飛 桂 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:角 銀
【手数=69 ▲2四桂 まで】
ここから△2三金▲8五角△9四金▲同角△同歩▲3二金△5二玉▲6五桂△同歩▲7三銀成△6六歩▲5六玉△9二角▲6六玉△5四桂▲7五玉と進んだ。
△2三金は指しにくいと思われたが木村が指すとこれで持ちこたえているようにも見えるから不思議だ。
▲8五角に△9四金も素朴な手。金を持たせると本譜の順で後手玉が相当危なく見えるが持ちこたえていると見ている。
▲6五桂は玉の逃げ道を作りつつ△同歩なら7三銀成を見せている。好手だ。
この後も手に汗握る攻防が続くが、先手玉は9一まで潜り込んで先手が逃げ切った。先手玉の追い方がまずかったか。
木村にとっては棋聖戦に続いて惜しい結果となった。タイトル保持者と同等(に近い)実力があることを知らしめた。懲りずに、腐らずに頑張って欲しい。
竜王戦に続いて、3連敗後4連勝の奇跡が起ったことになる。深浦王位の見事な防衛劇ではあるが、空き過ぎた日程(王座戦より先に始まり王座戦より後に終了)も深浦に幸いした気がする。
ともあれ長い長い王位戦は深浦の防衛で幕となった。羽生不在のタイトル戦だったが、50期という節目に相応しい内容だった。
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