王将戦

2009-03-30

第58期王将戦第7局

最終局は後手羽生王将の横歩取り(取らせ)中座飛車。一世を風靡したこの戦法も最近はあまり見かけなくなった。先手の対策が進化して一時程の後手番のドル箱的存在ではなくなったのが理由の一つだ。そういう意味ではこの大事な最終局でこの戦法を選択したのは意外と言える。

図は封じ手の局面。▲4六角一目だが、2筋から殺到する決戦の手順が見えているだけに決断の手になる。さて深浦王位の選択は。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:角 桂 歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v歩|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・v桂 ・|五
| ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・|六
| 歩 ・ 銀 歩 歩 歩 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 玉 銀 金 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:角 桂 歩二 
【手数=50 △2五同桂 まで】

ここから▲4六角△2七歩成▲同金△3七桂不成▲同銀△3八角▲2四角△2九角成▲と進んだ。
封じ手は決断の▲4六角。こうなるともう止まらない。飛車の取り合いになったが、先手の中住まいは直ぐに詰めろが掛かってしまいそうで、後手に手段が多い将棋となった。
▲4六角では▲7四桂が有力だったと週刊将棋誌の「中村修九段の見た第7局」にもある。善悪は分からないが後手の中原囲いに嫌みをつけて、彼我の陣形差を薄めた方が実戦的だった気もする。

下図は▲2三歩△同銀としたところ。少し後手が良いのではないかと言われていいたようだ。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:桂二 歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 飛 ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・ 馬 ・v歩v歩v歩v銀 ・|三
| ・ ・ ・v歩v桂 ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・ 歩v銀 ・ ・ 角 ・ ・|五
| ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 ・ 銀 歩 歩 歩 銀 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 玉 桂 ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v龍 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:歩二 
【手数=80 △2三同銀 まで】

ここから▲5六桂△6一桂▲8三馬△6二金寄と進んだ。
▲5六桂は4八桂の活用だがやや指しにくい。▲5三角成と行けないようではやはり後手優勢か。
△6一桂と7三の馬に当てながら、▲5三角成を防ぎ、更に△6二金寄と6四に桂馬が跳ねた時の当たりを予め避けた手が羽生らしい柔らかい受け。

第7戦までもつれ込んだものの、羽生が王将位を死守した形となった。これで羽生は王将戦5連覇。休む間もなく名人戦が控えている。
深浦は二冠のチャンスを逃したが、A級も降落してしまった現時点では二冠はまだ早いということなのだと思う。

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2009-03-15

第58期王将戦第6局

順位戦ではまたしても降級の憂き目に合ってしまった深浦王位だが、王将戦ではあと一勝で奪取、2冠のチャンスが巡ってきている。
本局は後手深浦の4手目△3三角戦法から四間飛車となった。

図は先手が3筋の歩を突き捨てた後、飛車先の歩を交換して▲2六飛と引いたのに対し、△3六歩と突き越したところ。次に△4四角を見ている。

後手:深浦康市王位
後手の持駒:角 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金 ・ ・v銀 ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v飛 ・v金 ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩v桂v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・v歩 飛 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:角 歩 
【手数=26 △3六歩 まで】

ここから▲5九金右△4四角▲3六飛△3五歩▲4六飛△9九角成▲3四歩△4四馬▲同飛△同歩▲3三歩成△同金▲1六角△3四香▲2二歩と進んだ。
▲5九金右は△4四角を打ってみろ、という手だ。△4四角と打たせても大丈夫なら手待ちとしては有効そうだ。挑発された訳ではないだろうが、後手は△4四角。飛香両取りなので打ちたくなる角ではある。
しかし、先手も代償として▲3四歩を打てるので、駒損は回復できる。▲3四歩は▲8八銀を入れるかどうかは迷うところだ。本譜は直ぐに打ったため△4四馬と自陣に退却した。
ばっさりと馬飛交換の▲4四同飛が先手の選択で、確かに▲1六角の味は良い。△3四香は受けるだけのつまらない手で、それに対し▲2二歩は好手。こう進めば△4四角を打たせる手法は成立してそうだ。

図は中盤戦。▲2二歩はと金に昇格しており、早い手は必要ない局面となっている。先手は現在歩切れなので△7四香は次に△7六香と走れればという手だが。

後手:深浦康市王位
後手の持駒:角 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀 ・ ・ ・ と ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・ ・ 圭 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v銀 ・v金 ・v歩|三
| ・ ・v香 ・v歩v歩 ・v歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 角 ・ ・|八
| ・ 桂 銀 金 金 ・ ・ 香v龍|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:飛 桂 
【手数=60 △7四香 まで】

ここから▲6八桂△6四銀▲1一成桂△6二金▲2二飛△6五銀▲7七香と進んだ。
当然先手は▲6八桂と△7六香を許さない。△6五銀に▲7七香と丁寧に指して優勢を拡大。

△4四角を許容する指し方が印象に残る一局だった。

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2009-03-01

第58期王将戦第5局

深浦王位の先手中飛車。第5局は意表の戦型となった。

図は後手羽生王将が8筋の歩を切ったところ。
この図で少し奇異に感じるのは3筋と7筋に突き合った歩だ。▲7五歩は△6四銀に▲6六銀をぶつけた結果伸びたものだ。△3五歩は位ということなのだろうが、傷にもなり得る。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:角 銀 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二
| ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|五
| 歩v飛 ・ ・ 歩 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ ・ 桂 歩 ・ ・ 歩 歩 ・|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ 飛 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:角 銀 歩 
【手数=40 △8六同飛 まで】

ここから▲7四歩△同歩▲5五歩△1五歩▲9七角△8二飛▲5四歩△5八歩▲同飛△5二歩▲6五桂と進んだ。
▲7四歩は悩ましい手で、ここで封じ手となった。先手は中飛車らしく5筋突破を狙う。▲9七角〜▲5四歩〜▲6五桂で5筋突破は確実となった。
しかしながら中飛車ペースとは言えない。美濃の急所である端に手を付けられているのと、△5八歩▲同飛と一本叩かれているのが大きい。うまく行っているようでも7八の金はポイントが低い。

図は△5七歩ともう一度飛車先を叩いたところ。ここでは先手は5筋を破っているものの駒が重く、後手は龍が出来ているので後手乗りの声が大きかった。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:角 銀 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・ ・v歩 圭 ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・ 歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 香|六
| 角 ・ ・ 歩v歩 ・ 歩 歩 ・|七
| ・ ・ 金 ・ 飛 ・ 銀 玉 ・|八
| 香v龍 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:銀 歩四 
【手数=60 △5七歩 まで】

ここから▲6八飛△3六歩▲7九金△9九龍▲8八角△9六龍▲4四角△3三香▲1三銀と進んだ。
手の流れからするとこの歩を▲同飛と取って7八の金は取らせる感覚で攻め合い勝ちにならないと中飛車ペースとは言えない。▲6八飛はこれを断念した手で本意ではないだろう。
しかし▲7九金に△9九龍としたのが羽生らしからぬ疑問手。▲8八角が絶好でおかしなことになった。やむを得ない△9六龍に▲4四角で事件だ。
△9九龍では△3六歩を活かす意味でも△8五龍の一手だった。

羽生にしては優勢を勝ちきれないという珍しい結果となった。
深浦は先に3勝目を挙げて二冠まであと一つとなった。

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2009-02-22

第58期王将戦第4局

第4局は後手深浦王位の一手損角換り。先手羽生王将は早めに1筋の歩を突き越した。右玉かとも思われたが腰掛銀に。
図は△3五歩としたところ。先手が3六歩を保留しているので、ならばという積極的な手だ。

後手:深浦康市王位
後手の持駒:角 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩v歩v銀v歩v歩|三
|v歩v歩v歩v歩v銀 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 歩|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:角 
【手数=34 △3五歩 まで】

ここから▲4五銀△6三銀▲5六角と進んだ。
▲4五銀のガッチャン銀に対し、△6三銀が勢いの意味からもらしくない一手だった。△4五同銀は▲同歩で後手が損な感じなので、ここは△5五銀の一手だと思う。なにより図の△3五歩と相反する。
▲5六角と大砲を構えて先手の狙いが分かりやすくなった。

図は▲3七桂に対し△4四歩としたところ。先手の猛攻が始まる。

後手:深浦康市王位
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・v桂v銀v金 ・v銀v歩v歩|三
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・v角 ・v歩 歩 歩|五
| 歩 ・ 歩 歩 角 歩 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:銀 
【手数=52 △4四歩 まで】

ここから▲2四銀△4六角▲3三銀成△同金▲2四歩△同歩▲3四銀△3六歩▲3三銀成△同玉▲2六飛△3七角成▲3四金と進んだ。
歩頭に打つ▲2四銀が強手。これで後手陣は潰れているようだ。△4六角と各筋で2筋を守るものの、一旦▲2六飛とし△3七角成に▲3四金。今度は▲2四飛と走れる。

以下はブルトーザーのように俗手で攻めて問題なし。先手の完勝となった。
佐世保出身の深浦王位だが、今回の大分対決では地の利を生かせなかった。

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2009-02-14

第58期王将戦第3局

凝り形という言葉がある。本局の後手の陣形はまさに凝り形だった。
後手羽生王将のゴキゲン中飛車に先手深浦王位は▲7八金と持久戦の構えを採用した。

図は▲7九玉としたところ。先手の当面の方針は玉を囲うことだ。後手としては軽い形から動いていきたいところ。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v飛 ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v玉 ・ ・v銀v金 ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v角v歩 飛 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ 銀 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 金 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:歩二 
【手数=27 ▲7九玉 まで】

ここから△3三銀▲2八飛△2六歩▲7七角△8二玉▲8八玉△7二銀▲3六歩△2四銀▲3七桂△3三桂と進んだ。
後手は2筋からの逆襲を狙うべく、△2六歩〜△2四銀〜△3三桂とした。がなんとも凝り形だ。△2四銀△3三桂の形は仮に2筋を逆襲できたとしても、兵力を使い過ぎな気がする。特に2四銀は処置に困りそうだ。

中盤の下図。先手は5三に桂を打ち込んでいる。これが今現在は楔となっているが、△5二歩とその桂を取りに来たところ。
桂を取りきれれば、先手の指し過ぎということになる。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:桂 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v角 ・v飛 ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v銀v金v歩 ・v金 ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩 桂 ・v銀 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ 歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 銀 ・ 歩 飛 ・|六
| 歩 歩 角 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 玉 金 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:歩二 
【手数=54 △5二歩 まで】

ここから▲2四歩△2一飛▲4一桂成△2四銀▲2二歩△同飛▲4四角△3三桂▲2九飛△2五歩▲6二角成△同角▲7七銀と進んだ。
▲4一桂成に△2二銀が控え室で発見されていた手。これで成桂を取り切れる。無筋のようだが方針には則っている。
しかし本譜は△2四銀。▲4四角に△3三桂と打たされて、またしても△2四銀△3三桂の形が出現。どうも後手陣が凝り形だ。先手の方が伸び伸びしており、ぱっと見で後手を持ちたいという人はよほどの受け好きだろう。
先手持ちではあるが実際にどう指せば良いのかは難しいところ。そんな中先手はばさっと▲6二角成だったが、この手は本局で最も驚いた。角を切っておいて▲7七銀と手を戻すのも変調な感じだが、6筋への飛車の転回を見ている。

図は終盤。後手は2三に角を打っており、打った時は4一の成桂にも当たっている攻防手だったが、感触は悪い。
たった一歩の▲3二歩で、後手の飛車はこれで使用不能に陥っている。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:歩四 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ 圭 ・v香|一
| ・v玉 ・ ・ ・ ・ 歩v飛 ・|二
|v歩v歩 ・ ・v歩v金v桂v角v歩|三
| ・v銀 歩v歩 歩 ・ ・v銀 ・|四
| ・ ・ ・ ・ 銀 ・v角v歩 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 ・ ・ ・vと ・ 歩|七
| ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:金 
【手数=89 ▲3二歩 まで】
ここから△7六歩▲同銀△5四金▲同銀△同歩▲6四飛△6二歩▲6三歩△7七歩▲同桂△4六角▲6二歩成△6四角▲7二金と進んだ。
後手も何とか2枚の角を世に出したが、時既に遅し。先手は予定通り6筋に飛車を転回して6筋を突破。△6四角と飛車を取るものの▲7二金以下ばらさせて万事休す。

左辺に放置された後手の駒を見れば、これでは勝てるはずがないのは一目瞭然だ。後手としては終止凝り形に苦しんだ将棋だった。

それにしても深浦は羽生に強い。本局を勝って対羽生戦を25勝25敗の5分とした。

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2009-02-01

第58期王将戦第2局

第2局は後手深浦王位が4手目3三角戦法を採用。先手としては△3三角には気合いからも▲同角成としたいところ。羽生王将も▲同角成と踏み込んだ。
3三角戦法は居飛車のまま銀冠を目指す作戦と、飛車を振る作戦に分けられるが深浦は後者を選択した。深浦の振り飛車は珍しいが予定の行動だろう。

図は△2五桂としたところ。ゴキゲン中飛車系の力戦振り飛車に見られるポンポン桂だ。
後手の狙い筋の一つだが単純なのでプロ的には向かないと思われていたが、意外と優秀な手法であることが認知されてきたのか、よく見かけるようになった。

後手:深浦康市王位
後手の持駒:角 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金 ・v飛v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v銀 ・ ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七
| 香 ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:角 
【手数=24 △2五桂 まで】

ここから▲同飛△2四歩▲2八飛△2五歩▲3八桂と進んだ。
△2五桂に対し先手は直ぐに▲同飛とした。いつでも取れるところを直ぐ取ったのは羽生らしい。

少し進んで下図。▲1四歩に△同香としたところ。もちろん▲同桂は飛車が抜かれてしまう。

後手:深浦康市王位
後手の持駒:角 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v飛 ・|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・ ・|三
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v香|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂v歩|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 桂|七
| 香 銀 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ ・ 金 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:角 歩二 
【手数=44 △1四同香 まで】

ここから▲1八歩△1七歩成▲同歩△4二金と進んだ。

▲1八歩は意外としか言いようがない。受けの手だが、状況が改善していない。コメントにもあるように▲2五桂とするよりなかったと思う。

早くも後手優勢と思える局面になったが先手は下図の反撃に本局の明暗を賭けたということかも知れない。
図は▲2四飛と当たりになっている飛車を切ったところ。

後手:深浦康市王位
後手の持駒:桂 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・v玉v銀 ・ ・v金 ・ 歩v飛|二
| ・v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・ ・|三
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩 飛 桂|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 角 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 香|七
| 香 銀 金 ・ ・ 銀 ・ ・v馬|八
| 玉 桂 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:香 歩二 
【手数=63 ▲2四飛 まで】

ここから△同銀▲同角△5二金寄▲1三香△2三飛と進んだ。
△同銀▲同角で4二の金取りにはなるが普通に△5二金寄で何もない。▲1三香で1二の飛車は死ぬが△2三飛があっては飛車切りの勝負手は空振りだろう。

本局は羽生にしては珍しく序盤で大差の将棋となってしまった。
それにしても狙いが単純なポンポン桂だが、羽生でさえも餌食になってしまったことに少なからず衝撃を受けた。優秀な手段なのだろうか。

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2009-01-19

第58期王将戦第1局

羽生王将が3連勝しながら4連敗という予想外の終焉となった竜王戦の記憶は新しいが、新たに年が変わって最初のタイトル戦である王将戦が開幕した。
ここでも羽生が登場。現在四冠だ。挑戦者は激闘の王位戦を戦った深浦王位、対羽生戦に結果を出している数少ない棋士の一人だ。王位戦に続いて二冠目のタイトル奪取と行きたいところだろう。

深浦先手で始まった第1局は一手損角換りに。腰掛け銀に展開した後、4、2、1、7、3筋の順に歩を突き捨てる定跡の仕掛けとなった。
先手の仕掛けが一段落して、後手に手番が回った。後手も持ち歩を使って、飛車先の歩交換を行う展開に。
7六の銀を▲8七銀としたのに対し△8一飛と下段まで引いて、▲3三歩成としたのが封じ手の局面。一日目はさくさく進んだ。
図は封じ手の△3三同金の局面。△同銀は▲8二歩〜▲7一角の筋があるのでない手とのこと。△同桂もないので消去法で△同金はこの一手と思う。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:角 歩五 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩 ・v金v歩 ・|三
|v歩 ・v金v歩v銀v銀 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩|五
| 歩 ・ ・ 歩 銀 ・ ・ 飛 ・|六
| ・ 銀 ・ ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:角 歩四 
【手数=66 △3三同金 まで】

ここから▲7二角△8二飛▲6一角成△8六歩▲9八銀△7七歩▲同玉△8五桂▲6八玉△7七歩▲7九金△2四歩▲4二歩と進んだ。
なんと先手は敢えて△8六歩の楔を打たせる方針の▲7二角を選択した。深浦は最強の指し方で受けきる決意だ。後手は気持ちの良い手が続く。
△2四歩は飛車の展開を見せた味の良い手で後手ペースを感じさせる。それは許さじと▲4二歩は軽妙な手だが先手が押されている感じはする。

図は大詰めの局面。▲6七金左と馬に当てたところ。先手は上部を開拓し、入玉含みで指すしかなさそう。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:銀 桂 歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・v玉 ・|二
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・v金 ・|三
|v歩 ・ ・ 馬v銀 ・ 歩v歩 ・|四
| ・v桂 ・ ・ ・ ・v銀 ・v歩|五
| 歩v歩 玉 歩v馬 ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|七
| 銀 ・ ・ 金 ・vと ・ ・ ・|八
| 香 桂 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:金 歩六 
【手数=111 ▲6七金左 まで】

ここから△7五歩▲同玉△7四歩▲8六玉△7七桂成▲8二歩△同飛▲同馬△6七成桂▲4一歩成△8四金と進んだ。
▲8六玉と飛車筋に玉を誘って△7七桂成の空き王手が狙いの手だが、当然▲8二歩と止められた。しかし△同飛の強手が成立しているようだ。

中盤の優勢をそのまま維持して羽生が勝ちきった。

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2008-12-14

羽生キラーが王将戦挑戦者に

- 対局者:郷田真隆九段○vs●佐藤康光棋王
- 棋戦名:第58期王将戦挑戦者決定リーグ戦第7局(Web中継)
- 対局日:2008/12/08

- 対局者:深浦康市王位○vs●丸山忠久九段
- 棋戦名:第58期王将戦挑戦者決定リーグ戦第7局(Web中継)
- 対局日:2008/12/08

王将戦のリーグ戦は混戦だった。ここまで

久保利明八段 2勝3敗
佐藤康光棋王 3勝2敗
森内俊之九段 3勝3敗
深浦康市王位 3勝2敗
高橋道雄九段 2勝3敗
郷田真隆九段 2勝3敗

という成績。
7回戦は高橋vs久保、郷田vs佐藤、深浦vs丸山というカード。佐藤と深浦が挑戦の目がある。佐藤と深浦の将棋を振り返る。

まずは郷田vs佐藤戦から。タイトル戦でも奇想天外な序盤で魅せてくれる佐藤棋王だが、この将棋も魅せてくれた。
図は▲2五歩としたところ。△3三角とすれば無難だが、もちろんそんな当たり前の手ではない。

後手:佐藤康光棋王
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手:郷田真隆九段
先手の持駒:なし
【手数=5 ▲2五歩 まで】

ここから△3二銀▲2四歩△同歩▲同飛△3三角▲2八飛△2四歩▲4八銀△2三銀▲3六歩△3二金と進んだ。
なんと△3二銀として飛車先の歩交換を許してしまった。もっとも前例がない訳ではなく佐藤のオリジナルではないらしい。
確かに本譜のように銀冠にする指し方は「あり」な気がする。

先手は4筋に焦点ありとみて右四間にした。なるほど、後手の陣形に呼応した指し方で参考になる。
この将棋、力戦となったが、やはり後手陣にどこか無理があったのか、先手郷田の制することとなった。
面白い指し方なのでメモがわり。

さて次は本題の深浦vs丸山戦。丸山九段にしては珍しく袖飛車を採用している。
図は△6五桂としたところ。後手は端を突き捨てており、もう攻め切るしかない。

後手:丸山忠久九段
後手の持駒:角 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v金 ・v玉 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀v歩v歩v銀v歩v歩|三
| ・ ・v飛v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| 歩v歩 ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 香 歩 ・ 歩 角 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| ・ 桂 玉 ・ 金 ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:歩四 
【手数=46 △6五桂 まで】

ここから▲7五銀△7三飛▲6六角△4四銀▲6八金上△6二金▲8八玉△5四歩▲7七歩と進んだ。
▲7五銀が局面を決めに行く手だ。数手前に▲7九玉と敢えて飛車筋に玉を移動しているが、これは▲7五銀を決行した時に△5七桂不成の筋を警戒したものか。
右金を引きつけ玉を8八に入城し、仕上げは▲7七歩。これで先手陣に全く憂いがなくなった。

激辛流を撃破して、深浦王位が勝利。佐藤が負けたため羽生王将への挑戦権を獲得した。
無念の降落は丸山、高橋、郷田。

深浦は王位戦で2年連続で羽生を下している。今や羽生キラー第一人者の挑戦で王将戦も目が離せない。

2008-02-29

第57期王将戦第5局

追いつめられた久保八段は先手番の本局の命運を四間飛車にかけた。四間飛車は最近居飛車の対策に押され気味の感があるが、ここぞという場面での採用は四間飛車党にとってはうれしいことだ。
対する羽生王将も最近見ることの少なくなった5七銀左の鷺宮定跡を採用した。ただ羽生が理由もなく採用するはずもなく、おそらく図の△6四歩がテーマだったようだ。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v飛v銀v金v金v玉v角 ・|二
|v歩 ・ ・ ・v銀v歩 ・v歩 ・|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 角 銀 ・ ・ 歩 歩 ・|七
| ・ ・ 飛 ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:なし
【手数=30 △6四歩 まで】

新しい指し方のようで手元に資料なし。

少し進んで下図。封じ手の▲7五歩に対して△8四飛としたところ。後手の対応は強気だ。▲8六歩からの逆襲が見えている。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:角 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v銀v金v金v玉 ・ ・|二
|v歩 ・v桂 ・v銀v歩 ・v歩 ・|三
| ・v飛v歩 ・v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 歩 桂 銀 ・ ・ 桂 歩 ・|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八
| 香 飛 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:角 歩 
【手数=46 △8四飛 まで】

以下▲8六歩△7五歩▲8五歩△7四飛▲8三角△7六歩▲7四角成△7七歩成▲6九飛△6八歩▲7九飛と進んだ。
後手の狙いは飛車を見切って△7七歩成を決行することにあった。
△7七歩成に対し一旦▲6九飛として△6八歩と打たしたのが工夫の手順だった。後々になってこの△6八歩があるのとないのでは大違いになる。
形は違うが、この踏み込んだ羽生の指し方は第55期王座戦第3局(久保●vs○羽生)を思い出す。あの時は△7七飛成と飛車を切ったが、対局相手も感覚も似ていると思う。

終盤戦は両者一歩も譲らない激しいものとなった。下図は△5九飛と飛車を下ろしたところ。次の手はなるほどと思った。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v銀v金v金v玉 ・ ・|二
|v歩 ・v桂 ・v銀v歩 ・v歩 ・|三
| ・ ・ 馬 ・v歩 ・v歩v桂v歩|四
| ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 ・ ・ ・ 金 銀 桂 歩 ・|七
| ・ ・v馬v歩 ・ ・ 金 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:飛 銀 歩三 
【手数=68 △5九飛 まで】

ここから▲4六金△1五歩▲2五桂△7七馬▲3五歩△1六歩▲3四歩△6三金▲同馬△同銀▲5一飛△3一歩▲5三飛成と進んだ。
▲4六金は部分的には悪形だが、この場合は上部に厚い好手だ。
△1六歩▲3四歩と互いに譲らない。
▲5一飛は狙いを秘めた手で、本譜は狙い通りになる。即ち▲5三飛成だ。△同金は▲3三銀が厳しい。場合によっては詰みまである。
これは先手が勝ちだと思った。
しかし羽生はその手順を選択した。先手玉が3七〜4八と逃げた時に7七の馬がいなくなると▲5九玉と飛車を取る手が生じる。
本譜もそのように進んで先手玉に王手は続くものの不詰め。したがってやはり先手勝勢というのは間違いなかったのだ。

しかし、羽生は先手玉が詰むと読んで本譜を選択したようだ。図は△7五桂としたところ。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:飛 銀 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・|二
|v歩 ・v桂v銀v金v歩 角v歩 ・|三
| ・ ・v桂 ・v歩 ・ ・v桂 ・|四
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・ ・|五
| ・ 玉 ・ ・ 歩 金 ・ ・ ・|六
| 歩 ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 歩v杏|七
| ・ ・ ・v杏 ・ ・ 金 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v角|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:飛 金 銀 歩七 
【手数=108 △7四桂 まで】

以下▲7五玉△6四金▲同歩△6五飛までで後手の勝ち。
これが羽生ブランドか。久保は最後の最後で間違えてしまった。▲7五玉は頓死である。

久保にとっては惜しい敗戦となった。羽生は安定度抜群で王将位4連覇となった。

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2008-02-22

第57期王将戦第4局

ごきげん中飛車再び、である。第2局の超急戦ではなく新丸山ワクチンを採用して角交換型ながら比較的穏やかな序盤になるかと思われたがさにあらず。
図の後手久保八段の△4二金が波乱の幕開けとなった。
△2一飛を後回しに△4二金。なんとも挑発的な手だ。なぜならこの形では一目の手があるから。一瞬は気持ち良いが、形勢は微妙か。
あからさまに「やってこい」と言われるとためらってしまう。

後手:久保利明八段
後手の持駒:角 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v金 ・v飛 ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・v歩v桂v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・v歩v銀v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 銀 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:角 
【手数=28 △4二金 まで】

ここから▲2四歩△同歩▲3一角△3二飛▲4二角成△同飛▲2四飛△1二角▲2三歩△3五銀▲2八飛△2五歩▲5三金と進んだ。
しかし、こういう局面を踏み込むのが王者の手だろう。以降の展開がずっと後手が足りない感じなので、羽生王将の選択は正解のだろう。

この後、形勢を損ねながらも久保も粘った。下図は△5一金と寄ったところ。美濃を崩してでも龍を確保する狙い。

後手:久保利明八段
後手の持駒:金 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v金 ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ 龍v角|二
| ・v歩v歩v歩 ・ ・v桂v角v歩|三
|v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・v銀 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 銀 ・ ・ 歩|七
| ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:歩 
【手数=58 △5一金 まで】

ここから▲3一龍△4一金▲1一龍△2一金▲1二龍△同角▲3五歩と進んだ。
色々手順をひねりだすものの、やはり足りない感じか。左辺の遊び駒がひどい。捌きのアーティストは本局でも華麗な捌きを披露できなかった。

▲2四歩の仕掛けに対して、王将戦ブログ:渡辺竜王の見解で、渡辺竜王はこう述べている。
「でも羽生さんもよく(▲2四歩~▲3一角と)行きましたよね。これまで類型で行った例はあったのでしょうか。僕も条件は違うものの竜王戦で佐藤さん(康光二冠)と似た形になったのですが(2006年度竜王戦第2局)、行く手はまったく考えませんでした。無理筋っぽい気がしますからね」
この一手の見立てに限って言えば、渡辺より羽生が勝った訳だ。
平凡でかつ非凡な一手、羽生が王者に君臨している訳を垣間みた気がした。
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2008-02-08

第57期王将戦第3局

7二飛に違和感がある。これが封じ手を見たときにファーストインプレッションだった。
△5五歩の突き出しに乗じて▲4五銀とぶつけたのが封じ手の局面(下図)。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・ ・v飛 ・ ・ ・v金v銀v香|二
|v歩 ・ ・ ・ ・v金v角 ・v歩|三
| ・ ・v歩v歩 ・v銀v歩v歩 ・|四
| ・v歩 ・ ・v歩 銀 ・ 歩 歩|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ ・ 飛 金 玉 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:歩 
【手数=47 ▲4五銀 まで】

ここから△同銀▲同桂△4二角▲2四歩△4四歩▲2三銀と進んだ。
先手玉は薄いが、飛角銀桂が最大限に働きそうで先手好調だ。

▲3八飛周辺にはどのような事情があったのか。
第3局は久保八段の藤井システムに対し後手羽生王将が7四歩と牽制しつつ穴熊を目指すという将棋となった。
図は▲5六銀としたところ。△7四歩▲4八玉(これは1セットの手だ)の交換がない形で、一時▲4七銀とする形が流行った。
しかし、△2四歩という一見無筋の手が発見されて下火になった。▲5六銀型は今一度見直されてきた形である。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
|v歩 ・ ・v歩v銀v金v角v歩v歩|三
| ・ ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|五
| ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 ・ 歩 ・ 桂 歩 ・|七
| ・ ・ ・ 飛 金 玉 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:なし
【手数=31 ▲5六銀 まで】

ここで問題の(?)△7二飛。
以下、▲7八飛△2四歩▲2六歩△1二香▲2五歩△1一玉▲4五歩△2二銀▲4四歩△同銀▲6四歩と進んだ。
やっぱり違和感がある。▲7八飛とされては▲4五桂の筋があるので7筋の歩を交換しにくい。
▲2五歩を手抜きで穴熊に囲う手順は4七銀型を衰退させた手法だが、△7二飛との組み合わせが今ひとつと思う。
▲6四歩の手筋の突き捨ても入って先手に不満はない。

終盤に飛んで下図。△5二飛と回ったところ。先手玉はむき出しで気持ち悪いが、ここで決め手が出る。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:金 銀 桂二 歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 龍 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・ ・ ・ ・v飛 ・v金v歩v香|二
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・|三
| ・ ・v歩 ・ ・ 馬v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・v歩v歩 ・ 銀 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 玉 歩 ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:角 金 歩三 
【手数=96 △5二飛 まで】

ここで▲4七角が強手だった。▲2一龍以下の詰めろになっている。
以下、△5六歩▲4八玉△5七歩成▲3九玉と進んだ。
怖いようでも4八〜3九に落ちるのが、正しい逃げ方だ。△5六歩に広そうな▲6六玉は△5五銀▲同馬△4三金と角を外されて困る。

本局は終始久保ペースだった。羽生には久しく勝っていないと思われるが、大舞台で1勝をあげた。
やはり番将棋は拮抗していないと面白くない。そういう意味でも価値ある1勝だ。
また、最近すっかり影を潜めた感のある藤井システムの快勝も私のような四間飛車ファンにとってはありがたい1勝である。
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2008-01-27

第57期王将戦第2局

第2局は後手久保八段のごきげん中飛車に。超急戦の展開になったが、第78期棋聖戦第4局(渡辺●vs○佐藤)で佐藤棋聖の指した△5四歩を久保も採用した。それが下図。

後手:久保利明八段
後手の持駒:銀 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金 ・v金v銀 ・ 龍|一
| ・ ・ ・v玉v飛 ・ ・ ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| ・v馬 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 玉 ・ 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:角 香 歩二 
【手数=22 △5四歩 まで】

ここから▲6三桂成△同玉▲9六角△7四歩▲6六香△同馬▲同歩△9五銀▲1三龍△4二銀▲1五龍と進んだ。
先の棋聖戦では渡辺竜王は▲6三桂成△同玉に▲6六香としたが、羽生王将は▲9六角と指した。
△5四歩の狙いは▲6三桂成△同玉の形は嫌だが、この瞬間、△8八馬が▲1一龍に当たっていることだ。
これを防ぐためにやはり▲6六香と指した。後手はこの手に対し、玉を躱して、▲6六香がいなくなるとやはり▲1一龍が抜ける仕掛けを主張できなければおかしい。しかし久保は長考の末△同馬と切った。
これでは後手の作戦が成功したとはとても言えない。△5四歩の佐藤新手は、本譜▲9六角の羽生新手が決定打となる可能性が高い。

▲1三龍が封じ手だが、もう既に先手が随分指し易い将棋になってしまっており、2日目は羽生の見事な収束を見るばかりとなってしまった。捌きのアーティストと言われる久保だが、後手の飛車は5二から動くことはなかった。

羽生が相手だとなかなか大駒を捌く展開というのは想像しにくいが、戦法別に考えても四間飛車は現時点では居飛車の定跡の進歩で衰退気味、相振り飛車はそもそも捌く将棋になりにくい、といった具合に久保にとっては辛い時代なのかもしれない。
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2008-01-25

第57期王将戦第1局

下記はT's shogi stationで1/20に公開したレポートの転用です。
---
久保八段のタイトル戦は去年の第55期王座戦が記憶に新しいが、2001年の棋王戦、王座戦に続き4回目のタイトル戦登場となった。今回は王将戦ということで初の2日制。
いずれも相手は羽生王将で結果は惜敗。そろそろ結果が欲しいところだが、意識しすぎると良い方向には行かないのが勝負というもの。いかに自然体で臨めるかが重要なポイントだと思う。

久保先手の第1局は相振り飛車に。久保が手を封じたが、封じ手は驚きの手だった。図は△7一玉寄ったところ。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v玉 ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・ ・v金v銀 ・ ・ ・v飛 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v銀v歩v角 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・|五
| ・ ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 銀 ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 飛 ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:なし
【手数=24 △7一玉 まで】

封じ手は▲4六歩!

以下△2六歩▲4七金△2七歩成▲同銀△2六歩▲3八銀△4四銀▲3六歩△3五歩▲4八金上と進んだ。
▲4六歩は本譜のように△2六歩と楔を打たれるので、やってはいけない手の見本で、考えもしない類いの手だ。
そこを敢えて久保は指した。本局の命運を賭けた勝負手だ。その場の思いつきではなく、日頃から暖めていたと推定するがどうだろう。
狙いは相手の攻め駒を攻める感じで盛り上がることだと思うが、是非はともかくリスクが高いのは間違いない。

久保はしばしば捌きのアーティストと呼ばれるが、本譜は専守防衛に徹し、厳しい羽生の猛攻に屈してしまった。
本譜の進行を見る限り図の勝負手は不発に終わった。久保にとっては不本意な内容での敗戦となった。
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