- 対局者:渡辺明竜王●vs○久保利明八段
- 棋戦名:第67期B1級順位戦10回戦(Web中継(有料))
- 対局日:2008/12/22
竜王戦の興奮冷めやまぬ中、19日に一斉対局予定(さすがに前日竜王戦なのにこの日程は無理でしょう)だった渡辺竜王vs久保八段の10回戦が22日に行なわれた。
慌ただしい日程だが、一流棋士ならばこなさなければいけないだろう。
久保の中飛車に対して、渡辺が得意の穴熊を目指して▲9八香としたところ。角交換型の中飛車は穴熊にしにくいというのが定説。そこを敢えて▲9八香だ。
後手:久保利明八段
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金 ・v金 ・ ・v香|一
| ・ ・v玉 ・ ・v銀 ・v飛 ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩v桂v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| 香 玉 ・ ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八
| ・ 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:角
【手数=19 ▲9八香 まで】
ここから△4四角▲7七桂△5三銀▲5六歩△6四銀▲5七銀△8二玉▲7八銀△7四歩▲6六銀△9二香と進んだ。
△4四角で穴熊にはできない。▲9八香は△4四角を誘ったのかどうかは不明だ。以下美濃に変更するが、これを見て今度は後手は△9二香だ。
▲9八香はキズになる可能性があるが、果たして本局も咎められることになる。
図は5五の地点で角銀交換が行なわれたところ。先手は駒損をする代償として7四の歩をかすめ取っている。△7六歩を見れされてるが、次の一手があるので大丈夫と見ている。
後手:久保利明八段
後手の持駒:角 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v桂v銀v金 ・ ・ ・ ・v香|一
|v香v玉v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩v歩 ・v歩v金v歩v桂v歩v歩|三
| ・ ・ 銀 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・v角 ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 桂 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| 香 玉 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:銀 歩二
【手数=42 △5五同角 まで】
ここから▲2六飛△6四金▲8六飛△7五金▲8三銀成△9一玉と進んだ。
▲2六飛〜8六飛が狙いの手順だったが、あっさり8三の地点を破らせて△9一玉で、後手優勢。
図は△9九銀と▲9八香のキズに銀を放り込んだところ。一目▲7八玉と右辺に逃げるところだが。
後手:久保利明八段
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉v桂v銀 ・ ・ ・ ・ ・v香|一
|v香 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩v桂v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v角v歩 ・ ・|四
| ・v桂v金 ・ 銀 ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 飛 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| 香 玉 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
|v銀 ・ ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:飛 角 歩二
【手数=58 △9九銀 まで】
ここから▲7八玉△6五金▲4四銀△5六金▲3三銀不成△8六歩と進んだ。
▲7八玉以下5六の飛車と4四の角を取り合う展開となったが、△8六歩が好手だった。これで先手は困っているようだ。
渡辺明ブログによると、
正解は▲同玉で△7七桂成に▲8八銀と埋めれば大変な勝負でした。実戦は▲7八玉とよけてしまったために△6五金▲4四銀△5六金▲3三銀不成に△8六歩が決め手。
とのことだ。控え室でも▲7八玉の一手という雰囲気だったが、これが間違っているというのだから将棋は難しい。
渡辺は本局を落として4勝5敗と今期の昇級は絶望的、残留を目指して戦うこととなった。久保は6勝3敗で昇級戦線に踏みとどまった。
渡辺は羽生四冠との永世竜王対決で、多くのことを学んだはずだ。一目この一手と思える局面でもその手が正しいとは限らないのが将棋である。
おそらく羽生も二十代は一目の手を迷わず指していてそれで十分強かったのだが、純粋に局面を見つめることで大局観を進化させたのだと思う。
さらなる進化を遂げて一刻も早くB1級を通過するのは、永世竜王としての使命であろう。