森内四間圧勝〜第22期竜王戦挑決戦第2局
- 対局者:深浦康市王位●vs○森内俊之九段
- 棋戦名:第22期竜王戦挑戦者決定戦第2局(Web中継)
- 対局日:2009/09/01
竜王戦決勝トーナメントを勝ち進んだのは1組優勝深浦王位と2組優勝の森内九段。
深浦は久保八段を、森内は高橋九段、羽生三冠(羽生の永世竜王はおあずけ)を破っての決勝進出だ。
既に第1局は8/17に行われており深浦の先勝で迎えた第2局は後手森内が四間飛車を採用した。
四間飛車!である。しかもノーマルな。藤井システム受難のこの時代、振り飛車党は皆ゴキ中に鞍替えしてしまって、とんと見かけることがなくなって久しい。
この一局を取り上げない訳には行かないではないか。
図はがっちり銀冠に組んだのに対し、▲6八銀と5七の銀を更に穴熊にくっつける動きをしたところ。
ノーマル四間飛車の中でも主流は△4四銀型だが、本局は△5四銀型だ。△5四銀型はどちらかと言うと消極的で手詰まりも懸念される。
後手:森内俊之九段
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v金 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v銀v桂v金v歩 ・v角v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 角 ・ ・|七
| 香 銀 ・ 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:なし
【手数=45 ▲6八銀 まで】
ここで後手は△8五歩と指した。
8五は桂馬の跳ねる場所なので保留するのが現代将棋というものだが、大山十五世名人は平然と△8五歩としていたものだ。大山流の△8五歩はより懐の深い指し方という捉え方が正しいのだろう。
とは言うものの、現実を顧みると△5四銀といい△8五歩といいちょっと嫌な予感がした。千日手。まさか、森内の狙いは後手番の専売特許である千日手なの?だとすると幻滅なのだが...。
局面は互いに陣形を組み直している。先手は5七の銀を一旦7七に持って行った後、結局松尾流の7九に移動している。
後手の5四の銀は一旦4三に引き4四〜5三に移動している。下図。
後手:森内俊之九段
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v桂v香|一
|v香v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・v銀v桂v金v銀 ・v角v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| 香 銀 金 角 飛 ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:なし
【手数=59 ▲6八角 まで】
ここから△1五歩▲同歩△6五歩▲同歩△1五香▲同香△6六歩▲5七金△6五桂▲5九角△6四銀▲3七角△4六歩と進んだ。
千日手は全くの杞憂だった。6筋が手薄になったこの瞬間、一歩確保を目的に1筋から果敢に動いたのは後手だった。
先に香損するものの要所を押さえて後手もやれると見ている。
少し進んで下図。駒割りは先手の桂香と金の交換。後手は金を自陣に投入しており、むしろ穴熊より固い。先手も4四に桂を打って後手の大駒を封鎖している。
頃合い良しと見て△9五歩と端攻めを決行したところ。
後手:森内俊之九段
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v桂 ・|一
|v香v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・v銀v金v金 ・ ・v角v歩 ・|三
| ・ ・ ・ ・v歩 桂v歩 ・ ・|四
|v歩v歩v銀 歩 ・ 歩 ・ 歩 香|五
| 歩 ・v歩v歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ ・ 飛 ・ 角 ・ ・|七
| 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 銀 香 ・ ・ ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:歩二
【手数=84 △9五歩 まで】
ここから▲7七歩△9六歩▲7六歩△8四銀引▲6六香△7四金左▲6七飛△6三歩▲3二桂成△4五飛▲3三成桂△同桂▲4六歩と進んだ。
△9五歩にまさかの手抜き。端歩を突き合った穴熊では端攻めの手抜きが有効な時もあるが、ここは取る一手だろう。
6筋に放った香で攻めるものの△7四金左〜△6三歩の先受けで無効だ。▲3二桂成には角を見捨てて△4五飛。この飛車に対する▲4六歩が自らの角道を止める評判の悪い手だった。
以降も鉄壁の自陣と端攻めの重圧のみて後手の圧勝となった。
かねてから、森内の棋風には大山流四間飛車が合っていると思っていた。是非とも、四間飛車をレーパートリの一つに加えて頂きたいものだ。


