四間飛車

2009-09-07

森内四間圧勝〜第22期竜王戦挑決戦第2局

- 対局者:深浦康市王位●vs○森内俊之九段
- 棋戦名:第22期竜王戦挑戦者決定戦第2局(Web中継)
- 対局日:2009/09/01

竜王戦決勝トーナメントを勝ち進んだのは1組優勝深浦王位と2組優勝の森内九段。
深浦は久保八段を、森内は高橋九段、羽生三冠(羽生の永世竜王はおあずけ)を破っての決勝進出だ。
既に第1局は8/17に行われており深浦の先勝で迎えた第2局は後手森内が四間飛車を採用した。

四間飛車!である。しかもノーマルな。藤井システム受難のこの時代、振り飛車党は皆ゴキ中に鞍替えしてしまって、とんと見かけることがなくなって久しい。
この一局を取り上げない訳には行かないではないか。

図はがっちり銀冠に組んだのに対し、▲6八銀と5七の銀を更に穴熊にくっつける動きをしたところ。
ノーマル四間飛車の中でも主流は△4四銀型だが、本局は△5四銀型だ。△5四銀型はどちらかと言うと消極的で手詰まりも懸念される。

後手:森内俊之九段
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v金 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v銀v桂v金v歩 ・v角v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 角 ・ ・|七
| 香 銀 ・ 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:なし
【手数=45 ▲6八銀 まで】

ここで後手は△8五歩と指した。
8五は桂馬の跳ねる場所なので保留するのが現代将棋というものだが、大山十五世名人は平然と△8五歩としていたものだ。大山流の△8五歩はより懐の深い指し方という捉え方が正しいのだろう。
とは言うものの、現実を顧みると△5四銀といい△8五歩といいちょっと嫌な予感がした。千日手。まさか、森内の狙いは後手番の専売特許である千日手なの?だとすると幻滅なのだが...。

局面は互いに陣形を組み直している。先手は5七の銀を一旦7七に持って行った後、結局松尾流の7九に移動している。
後手の5四の銀は一旦4三に引き4四〜5三に移動している。下図。

後手:森内俊之九段
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v桂v香|一
|v香v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・v銀v桂v金v銀 ・v角v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| 香 銀 金 角 飛 ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:なし
【手数=59 ▲6八角 まで】

ここから△1五歩▲同歩△6五歩▲同歩△1五香▲同香△6六歩▲5七金△6五桂▲5九角△6四銀▲3七角△4六歩と進んだ。
千日手は全くの杞憂だった。6筋が手薄になったこの瞬間、一歩確保を目的に1筋から果敢に動いたのは後手だった。
先に香損するものの要所を押さえて後手もやれると見ている。

少し進んで下図。駒割りは先手の桂香と金の交換。後手は金を自陣に投入しており、むしろ穴熊より固い。先手も4四に桂を打って後手の大駒を封鎖している。
頃合い良しと見て△9五歩と端攻めを決行したところ。

後手:森内俊之九段
後手の持駒:歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v桂 ・|一
|v香v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・v銀v金v金 ・ ・v角v歩 ・|三
| ・ ・ ・ ・v歩 桂v歩 ・ ・|四
|v歩v歩v銀 歩 ・ 歩 ・ 歩 香|五
| 歩 ・v歩v歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ ・ 飛 ・ 角 ・ ・|七
| 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 銀 香 ・ ・ ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:深浦康市王位
先手の持駒:歩二 
【手数=84 △9五歩 まで】

ここから▲7七歩△9六歩▲7六歩△8四銀引▲6六香△7四金左▲6七飛△6三歩▲3二桂成△4五飛▲3三成桂△同桂▲4六歩と進んだ。
△9五歩にまさかの手抜き。端歩を突き合った穴熊では端攻めの手抜きが有効な時もあるが、ここは取る一手だろう。
6筋に放った香で攻めるものの△7四金左〜△6三歩の先受けで無効だ。▲3二桂成には角を見捨てて△4五飛。この飛車に対する▲4六歩が自らの角道を止める評判の悪い手だった。

以降も鉄壁の自陣と端攻めの重圧のみて後手の圧勝となった。
かねてから、森内の棋風には大山流四間飛車が合っていると思っていた。是非とも、四間飛車をレーパートリの一つに加えて頂きたいものだ。

2009-03-22

第34期棋王戦第4局

先手久保八段の四間飛車はまあ想像の範疇だとしても、後手佐藤棋王の棒銀には驚いた。第4局はクラッシックな将棋となった。

後手の棒銀はスピード重視の△4二銀型。図は△7五歩の仕掛けに▲同歩△同銀としたところ。

後手:佐藤康光棋王
後手の持駒:歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・ ・v飛 ・v金v銀v玉v角 ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 角 銀 歩 ・ 歩 歩 ・|七
| ・ ・ 飛 ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:歩 
【手数=32 △7五同銀 まで】

ここから▲9五角△7四飛▲7六歩△6六銀▲同銀△同角▲7五銀△9四歩▲7七角△同角成と進んだ。
先手が▲7五同歩と応じたのは▲9五角の幽霊角があるから。△7四飛と当たりを避けた手に対し、▲7六歩の催促。後手の強気に応えて△6六銀▲同銀△同角▲7五銀と進んだ。
この▲7五銀には△同飛▲同歩△9一角成で難解というのが定跡だが、後手は△7五同飛ではなく△9四歩。初めて見る手だ。

局面は一旦収まり下図。△8二飛と7二の飛車を8筋に移動したのに呼応して▲8八飛としたところ。
先手は馬を作っているが働きは今一つ。何となく後手の誘いに乗った形で馬を作らされた感じもする。▲7一馬には△8四飛と縦に逃げて何も起きない。

後手:佐藤康光棋王
後手の持駒:銀 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金v銀v玉 ・ ・|二
| ・ ・ ・v歩 ・v歩v角v歩 ・|三
|v歩 ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 馬 歩|六
| ・ 歩 桂 金 歩 ・ 歩 歩 ・|七
| ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:なし
【手数=55 ▲8八飛 まで】

ここから△8六歩▲同歩△8七歩▲5八飛△8六飛▲8九歩△8八歩成▲同歩△8七歩▲5六歩△8八歩成▲5五歩△7八と▲同飛△8九飛成と進んだ。
△8六歩以降自然な手の連続で簡単に龍を作るのに成功した。

以降の先手の指し方は悪いながら粘る指し方に終止した。いくら久保と言えども毎回軽快に駒が捌ける訳ではなく、悪くなると相手に決め手を与えずに粘る将棋も巧い。
しかし、本局はチャンスは訪れなかった。
仕掛けの辺りから先手指し方に疑問手があったと思われる。本譜の△9六歩は二枚換えよりも良いと判断した訳で、確かに収まると先手だけ銀を使っており、さらに歩損。一理ある指し方だ。

佐藤は2連敗後の2連勝。虎の子の棋王位を守ることができるか。

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2008-08-13

郷田九段の振り飛車

- 対局者:木村八段○vs●郷田九段
- 棋戦名:第21期竜王戦決勝トーナメント(Web中継)
- 日時:2008/08/08

居飛車正統派の郷田九段だが、本局は陽動振り飛車を採用した。ハチワンダイバー以降、千駄ヶ谷の受け師というニックネームが定着しつつある木村八段はミレニアムを採用。
最近では見られない居飛車vs振り飛車の持久戦だ。後手は千日手辞さずの構えなので、先手がいかにして手を作るかというのが中盤のポイントになった。

図は駒組が頂点に達したので△5五歩としたところ。

後手:郷田真隆九段
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v金 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v銀v桂v銀 ・ ・v角v歩v歩|三
|v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 桂 銀 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 玉 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:木村一基八段
先手の持駒:なし
【手数=46 △5五歩 まで】

▲2四歩△同歩▲3五歩△同歩▲5五歩△2二飛▲3八飛△4四角▲3三歩△4三金▲3五角△3三角と進んだ。
△5五歩はきっかけの欲しい先手に手段を与えることになるが、そこをいなすのが振り飛車の真骨頂だろう。後手がうまくやっている感じだ。

図は▲2二角成と飛車を召し捕ったところ。さらに4四の金取りにもなっている。
指し方がここでは完全にギアチェンジしている。いなす指し方から、敵陣しかみない指し方だ。ここで先手玉を寄せてしまう構想は居飛車党の発想と言えるかもしれない。

後手:郷田真隆九段
後手の持駒:金 桂 歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v金 ・ ・ ・ ・ 馬 ・|二
| ・v銀v桂 ・ ・ ・ ・ ・v歩|三
|v歩v歩 ・v桂 歩v金v歩v歩 ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 歩v歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ 銀v馬 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 玉 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:木村一基八段
先手の持駒:飛 銀 歩四 
【手数=105 ▲2二角成 まで】

ここから△7七桂▲9八玉△9五歩▲6一飛△9六歩▲9二歩△8五歩▲9一歩成△8六歩▲9四銀と進んだ。
△7七桂は指したくなる手ではあるが、週刊将棋誌によるとここでは△6六歩が有力だったとこのこと。
端と連動して先手玉は寄っている感じがするが、△9六歩に▲9二歩があってこの攻めは無理だったようだ。
9〜7筋まで6の段に歩が並んで先手陣から見ればかなり圧迫感があるものの、▲9四銀が決め手。

木村八段が勝って、2年連続挑戦へ向けて決勝トーナメント三番勝負へと駒を進めた。

郷田九段の将棋はいい意味で古風だ。時代の最先端にある小手先の技術に媚びないとことが魅力だ。そして本局のようなオールドスタイルの振り飛車もなかなか巧い。
最近は角道を止める振り飛車を指す棋士がめっきり減ってしまった。郷田九段は振り飛車を指して欲しい棋士の一人でもあるし、時流に反するという観点から意外と指してくれるかも、という期待感もある。

2008-06-22

第79期棋聖戦第2局

第1局以降、羽生三冠は17日の名人戦で森内名人を4-2で破って見事に5期目の名人位(=永世名人)に就いた。また19日には新鋭橋本七段を破って王位戦挑戦権を得ている。
一方の佐藤棋聖は17日にA級順位戦緒戦で鈴木八段と対局し、勝利している。

さて第2局は後手羽生が4手目△3三角と趣向を見せた。先手佐藤もこの注文を堂々と受けて、▲3三同角成△同桂と進んだ。
後手は居飛車にする手もあったが、一旦四間に飛車を振って力戦振り飛車を採用した。

図は△7二玉としたところ。先手の6八玉に違和感があるが、その後の展開を見れば納得。

後手:羽生善治三冠
後手の持駒:角 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金 ・v金v銀 ・v香|一
| ・ ・v玉 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩v桂v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 玉 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:角 
【手数=12 △7二玉 まで】

ここから▲7七玉△2二飛▲2五歩△4二銀▲8八玉△8二玉▲9八香と進んだ。
▲7七玉から玉を囲うのが先手の狙い。珍しい駒運びだが、昔からない手ではない。▲9八香は穴熊の意思表示。
後手は飛車を四間から向飛車に振り直した。

図は中盤戦。△4七角としたところ。後手だけ馬ができる展開となれば、当然後手優勢だ。

後手:羽生善治三冠
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v香|一
|v香v玉v金 ・ ・v金 ・ ・ ・|二
| ・v銀v桂v歩 ・v歩v桂v歩v歩|三
|v歩 ・v歩 ・v歩v銀v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 銀v角 桂 ・ ・|七
| 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:角 
【手数=48 △4七角 まで】

ここから▲1八角△5五歩▲4五歩△5三銀▲4八飛と進んだ。
▲1八角は角には角の第一感の手だ。▲1八角に対しては△3五歩または△6五桂のどちらかと思っていたので、△5五歩は意外だった。
△3五歩や△6五桂とすれば後手としては不満のない中盤戦になると思うのだが、どうなのだろう?
本譜は▲4八飛で角が死んでしまった。

以降も玄妙に手を繰り出す後手だが、大勢は既に決している感がある。
△9二香としたのは△9一飛の地下鉄飛車が狙いだが、飛車は2一から動くことはなかった。
この将棋は端を絡めないと後手が勝つイメージがなかなか湧かない。先手が作戦勝ちしたとは思わないが、なんと言っても先手陣は穴熊なので。

羽生の指し手に、ややちぐはぐさを感じる一局となった。

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2008-02-29

第57期王将戦第5局

追いつめられた久保八段は先手番の本局の命運を四間飛車にかけた。四間飛車は最近居飛車の対策に押され気味の感があるが、ここぞという場面での採用は四間飛車党にとってはうれしいことだ。
対する羽生王将も最近見ることの少なくなった5七銀左の鷺宮定跡を採用した。ただ羽生が理由もなく採用するはずもなく、おそらく図の△6四歩がテーマだったようだ。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v飛v銀v金v金v玉v角 ・|二
|v歩 ・ ・ ・v銀v歩 ・v歩 ・|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 角 銀 ・ ・ 歩 歩 ・|七
| ・ ・ 飛 ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:なし
【手数=30 △6四歩 まで】

新しい指し方のようで手元に資料なし。

少し進んで下図。封じ手の▲7五歩に対して△8四飛としたところ。後手の対応は強気だ。▲8六歩からの逆襲が見えている。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:角 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v銀v金v金v玉 ・ ・|二
|v歩 ・v桂 ・v銀v歩 ・v歩 ・|三
| ・v飛v歩 ・v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 歩 桂 銀 ・ ・ 桂 歩 ・|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八
| 香 飛 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:角 歩 
【手数=46 △8四飛 まで】

以下▲8六歩△7五歩▲8五歩△7四飛▲8三角△7六歩▲7四角成△7七歩成▲6九飛△6八歩▲7九飛と進んだ。
後手の狙いは飛車を見切って△7七歩成を決行することにあった。
△7七歩成に対し一旦▲6九飛として△6八歩と打たしたのが工夫の手順だった。後々になってこの△6八歩があるのとないのでは大違いになる。
形は違うが、この踏み込んだ羽生の指し方は第55期王座戦第3局(久保●vs○羽生)を思い出す。あの時は△7七飛成と飛車を切ったが、対局相手も感覚も似ていると思う。

終盤戦は両者一歩も譲らない激しいものとなった。下図は△5九飛と飛車を下ろしたところ。次の手はなるほどと思った。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v銀v金v金v玉 ・ ・|二
|v歩 ・v桂 ・v銀v歩 ・v歩 ・|三
| ・ ・ 馬 ・v歩 ・v歩v桂v歩|四
| ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 ・ ・ ・ 金 銀 桂 歩 ・|七
| ・ ・v馬v歩 ・ ・ 金 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:飛 銀 歩三 
【手数=68 △5九飛 まで】

ここから▲4六金△1五歩▲2五桂△7七馬▲3五歩△1六歩▲3四歩△6三金▲同馬△同銀▲5一飛△3一歩▲5三飛成と進んだ。
▲4六金は部分的には悪形だが、この場合は上部に厚い好手だ。
△1六歩▲3四歩と互いに譲らない。
▲5一飛は狙いを秘めた手で、本譜は狙い通りになる。即ち▲5三飛成だ。△同金は▲3三銀が厳しい。場合によっては詰みまである。
これは先手が勝ちだと思った。
しかし羽生はその手順を選択した。先手玉が3七〜4八と逃げた時に7七の馬がいなくなると▲5九玉と飛車を取る手が生じる。
本譜もそのように進んで先手玉に王手は続くものの不詰め。したがってやはり先手勝勢というのは間違いなかったのだ。

しかし、羽生は先手玉が詰むと読んで本譜を選択したようだ。図は△7五桂としたところ。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:飛 銀 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・|二
|v歩 ・v桂v銀v金v歩 角v歩 ・|三
| ・ ・v桂 ・v歩 ・ ・v桂 ・|四
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・ ・|五
| ・ 玉 ・ ・ 歩 金 ・ ・ ・|六
| 歩 ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 歩v杏|七
| ・ ・ ・v杏 ・ ・ 金 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v角|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:飛 金 銀 歩七 
【手数=108 △7四桂 まで】

以下▲7五玉△6四金▲同歩△6五飛までで後手の勝ち。
これが羽生ブランドか。久保は最後の最後で間違えてしまった。▲7五玉は頓死である。

久保にとっては惜しい敗戦となった。羽生は安定度抜群で王将位4連覇となった。

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2008-02-08

第57期王将戦第3局

7二飛に違和感がある。これが封じ手を見たときにファーストインプレッションだった。
△5五歩の突き出しに乗じて▲4五銀とぶつけたのが封じ手の局面(下図)。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・ ・v飛 ・ ・ ・v金v銀v香|二
|v歩 ・ ・ ・ ・v金v角 ・v歩|三
| ・ ・v歩v歩 ・v銀v歩v歩 ・|四
| ・v歩 ・ ・v歩 銀 ・ 歩 歩|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ ・ 飛 金 玉 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:歩 
【手数=47 ▲4五銀 まで】

ここから△同銀▲同桂△4二角▲2四歩△4四歩▲2三銀と進んだ。
先手玉は薄いが、飛角銀桂が最大限に働きそうで先手好調だ。

▲3八飛周辺にはどのような事情があったのか。
第3局は久保八段の藤井システムに対し後手羽生王将が7四歩と牽制しつつ穴熊を目指すという将棋となった。
図は▲5六銀としたところ。△7四歩▲4八玉(これは1セットの手だ)の交換がない形で、一時▲4七銀とする形が流行った。
しかし、△2四歩という一見無筋の手が発見されて下火になった。▲5六銀型は今一度見直されてきた形である。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
|v歩 ・ ・v歩v銀v金v角v歩v歩|三
| ・ ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|五
| ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 ・ 歩 ・ 桂 歩 ・|七
| ・ ・ ・ 飛 金 玉 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:なし
【手数=31 ▲5六銀 まで】

ここで問題の(?)△7二飛。
以下、▲7八飛△2四歩▲2六歩△1二香▲2五歩△1一玉▲4五歩△2二銀▲4四歩△同銀▲6四歩と進んだ。
やっぱり違和感がある。▲7八飛とされては▲4五桂の筋があるので7筋の歩を交換しにくい。
▲2五歩を手抜きで穴熊に囲う手順は4七銀型を衰退させた手法だが、△7二飛との組み合わせが今ひとつと思う。
▲6四歩の手筋の突き捨ても入って先手に不満はない。

終盤に飛んで下図。△5二飛と回ったところ。先手玉はむき出しで気持ち悪いが、ここで決め手が出る。

後手:羽生善治王将
後手の持駒:金 銀 桂二 歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 龍 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・ ・ ・ ・v飛 ・v金v歩v香|二
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・|三
| ・ ・v歩 ・ ・ 馬v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・v歩v歩 ・ 銀 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 玉 歩 ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:久保利明八段
先手の持駒:角 金 歩三 
【手数=96 △5二飛 まで】

ここで▲4七角が強手だった。▲2一龍以下の詰めろになっている。
以下、△5六歩▲4八玉△5七歩成▲3九玉と進んだ。
怖いようでも4八〜3九に落ちるのが、正しい逃げ方だ。△5六歩に広そうな▲6六玉は△5五銀▲同馬△4三金と角を外されて困る。

本局は終始久保ペースだった。羽生には久しく勝っていないと思われるが、大舞台で1勝をあげた。
やはり番将棋は拮抗していないと面白くない。そういう意味でも価値ある1勝だ。
また、最近すっかり影を潜めた感のある藤井システムの快勝も私のような四間飛車ファンにとってはありがたい1勝である。
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