NHK杯

2008-03-17

NHK杯は佐藤2連覇

本日(3/16)のNHK杯決勝は、初の生中継。将棋は千日手があるので時間枠が悩ましいが、今日のようにたっぷり3時間以上取れば問題なさそうだ。
本日は一般的な手数で終わったためか時間を持て余した感じになったが、これは計算の上だろう。
生はやはり臨場感がある。成功だったと思う。是非恒例化して欲しい。

さて将棋の方は佐藤NHK杯と鈴木八段の顔合わせとなった。後手鈴木が角道を開けたまま向飛車に振った。角交換から互い駒組を進めるという展開は千日手の可能性も...。
図は▲5六歩としたところ。先手は4八の銀の使い方を保留しているのが工夫と言える。

後手:鈴木大介八段
後手の持駒:角 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩v歩 ・v銀v歩v桂 ・v歩|三
|v歩 ・ ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・|六
| ・ 銀 桂 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| ・ 玉 金 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光NHK杯
先手の持駒:角 
【手数=31 ▲5六歩 まで】

ここから△6三金▲1六角△5二金▲3四角△5五歩と進んだ。
この将棋は先手が筋違い角から3四の歩をかすめ取るのが一つの狙いとしてある。
△6三金は4三の利きをなくして、▲1六角の筋に無防備すぎたと思う。この辺りの無頓着さが鈴木八段の特徴だが、今回はマイナスに働いた。△5二金ではいかにも辛い。同時に駒組での千日手の可能性はなくなった。

図は終盤戦。先手駒得でここでは先手優勢。

後手:鈴木大介八段
後手の持駒:飛 角 銀 桂 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v銀 ・ 馬 ・v金 と ・|二
| ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
|v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩v歩|四
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五
| 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六
| ・ 銀 桂 ・v圭 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光NHK杯
先手の持駒:金二 銀 歩四 
【手数=75 ▲5二馬 まで】

ここから△4八飛▲9七玉と進んだ。
飛車の王手に対して、▲9七玉は手筋。鈴木八段好みの手筋を逆にやられてしまって、くやしかったと思う。
ここでは△4二金はとうだろう。取れば△4八飛だが▲6二馬と入られてはやりダメか。

佐藤は2連覇という偉業を成し遂げた。

2008-03-02

鈴木八段の構想力


鈴木八段といえば、早見え早指しの棋士で有名である。実戦で鍛え上げられた反射神経は一級だが反面序盤はやや大雑把という印象があるのも否めない。
渡辺竜王も早指しは得意なので好局が期待できるが、本局は鈴木の構想力が冴えた一局となった。

戦型は先手鈴木の角道を開けたままの力戦向飛車。持久戦模様になり、互いに陣形を整える展開となった。
図は△5二飛としたところ。先手の銀冠に対し、後手も銀冠から居飛穴に組み換えて互いに仕掛けのチャンスをうかがっているが互いに手を出しにくい局面だ。

後手:渡辺明竜王
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・ ・ ・ ・v飛v角 ・v金v香|二
| ・ ・v桂v歩 ・v金 ・v銀 ・|三
|v歩 ・v歩v銀v歩v歩v歩v歩v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 金 桂 銀 ・|七
| 香 ・ ・ 角 ・ ・ 金 玉 ・|八
| ・ 桂 ・ ・ 飛 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:鈴木大介八段
先手の持駒:なし
【手数=54 △5二飛 まで】

ここから▲4八金引△3三金寄▲4九金△3二金引▲3九金寄△8二飛▲4五歩△同歩▲4九飛と進んだ。
互いに手を出しにくい将棋だが、4七の金を3九に移動し、▲4九飛としたのがなかなかの構想力だった。

以下は機敏に動いて先手優勢となった。後手は先手が4筋から動くことを阻止できなくなっている。鈴木会心の捌きだ。
穴熊に対する食いつき方も参考になる一局だった。

2008-02-25

振り飛車はおおらかか?

確かに昔の振り飛車はおおらかだったが、藤井システムの登場を機に緻密さが要求されるようになってきた。
これはこれでちょっと息苦しい気がする。2/24放送の鈴木八段○vs●郷田九段の一戦は、古き良き時代の振り飛車を彷彿させる将棋となった。

後手:郷田真隆九段
後手の持駒:歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v金v玉v角 ・|二
|v歩v金 ・v銀v銀v歩 ・v歩 ・|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 飛 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六
| ・ ・ 桂 銀 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ 角 ・ ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:鈴木大介八段
先手の持駒:歩 
【手数=34 △7四歩 まで】

石田流vs棒金の一戦となった本局は、ここから▲7六銀!?△6六角
序盤でほとんど無条件の一歩得は棋理から言っても当然後手優勢だ。
私も実戦で似たような形で△6六角とされ一歩損したことがある。この時は全くのポカで、指された時は驚いたことを覚えている。私はここで萎えて以下無理攻めして自爆した。
まさか鈴木がポカしたとは思わないが、一歩を損しても、悠然と美濃を銀冠に組み換えじっとチャンスを待つ指し方は参考になった。将棋は辛抱も必要だ。

将棋にはミスがつきものである。最後にミスした方が悪くなるのは、それこそ将棋の道理だ。序盤からあまり神経を張りつめずにおおらかに指すことは、来るべき一瞬のミスが勝負を決める終盤に集中するための知恵なのかもしれない。

それにしてもこの将棋を落としてしまった郷田の心中は穏やかではないだろう。

2008-02-19

藤井システムのような指し方

2/17放送のNHK杯は三浦八段vs佐藤NHK杯の一戦だった。佐藤の変幻自在の駒組は短時間の将棋でも健在で、△3二金から飛車を四間に振って下図のような駒組になった。

後手:佐藤康光NHK杯
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v金v飛v金 ・ ・|二
| ・v歩v桂v銀v歩 ・v角v歩 ・|三
| ・ ・v歩v歩 ・v歩v銀 ・v歩|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 角 金 銀 歩 歩 ・ ・|七
| 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:三浦弘行八段
先手の持駒:なし
【手数=40 △1四歩 まで】

先手は悠々穴熊に組んだが、後手も穴熊シフトの布陣なので攻め味は豊富である。後手佐藤も果敢に先制した。もっともこの方が攻めないなんてことはあり得ないのだが。
図は6五の地点で銀桂交換が行われて、▲5五歩の手筋を放ったところ。

後手:佐藤康光NHK杯
後手の持駒:銀 歩二 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・v歩v金v角 ・ ・|三
| ・ ・v歩 ・v銀 ・v銀v歩v歩|四
|v歩v歩 ・v飛 歩v歩v歩 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 歩|六
| 歩 歩 角 金 ・ 歩 桂 ・ ・|七
| 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:三浦弘行八段
先手の持駒:桂 歩二 
【手数=67 ▲5五歩 まで】

ここから△8六歩▲5四歩△8七歩成▲同銀△8六歩▲同銀△8七銀▲同金△6七飛成▲5三歩成△7七角成▲同銀△7八角と進んだ。
手抜きで△8六歩も佐藤らしい手と言えるが、ぎりぎり成立しているか。

この後も見応えのある攻防が続いたが、最後は三浦が詰め筋をうっかりして幕切れとなった。
本譜の後手の布陣は藤井システムの応用という感じがして、参考になった。

2008-02-03

長沼七段が羽生二冠を破る

本日放送の第57回NHK杯トーナメント準々決勝は予選から勝ち上がってきた、長沼七段が羽生二冠に挑む一戦だった。正直羽生勝ちは堅いところと思っていた。
しかし、11時30分頃TVを見たら下図の局面。これはひょっとするとひょっとするのではと思いつつTVに釘付けになった。

後手:長沼洋七段
後手の持駒:角 銀 歩六 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 銀 ・ ・ ・ ・v飛v香|一
|v玉 ・ ・ 圭 ・v金 ・ ・ ・|二
| ・ 歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩|三
|v歩v金 ・ ・ ・v銀 ・v歩 ・|四
| ・v歩 桂 ・v歩v馬 ・ ・ ・|五
| 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ 桂 金 ・ ・ ・ ・ 歩|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将王座
先手の持駒:歩 
【手数=87 ▲7一銀 まで】

▲7一銀は打つとしたら寄っていなければいけない感じの手であるのに対し、後手玉はなかなか寄らない。

長沼は見事に受けきって大金星をあげた。
あの羽生の攻めを受けきって勝つというとても強い勝ち方だった。

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